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抜歯・非抜歯について

抜歯をする・しないの考え方

矯正歯科医のほとんどは、積極的に抜歯をすることは避けたいと考えていると思います。当たり前のことですが、できるだけ抜歯せずに治療できる方法を考えたうえで、どうしても必要な場合に抜歯での矯正治療となります。

無理に非抜歯で治療を行うと、歯は一列に並んだけれど歯列が拡大するため口元が突出し、顔貌を損なう結果となったり、後戻りが起きる場合もあります。そのことを考慮して十分検討して決めることが大切です。

抜歯と非抜歯の口元の変化の違い

叢生で来院された患者さんの例です。当初、抜歯への抵抗が強く、患者さんの強い希望で非抜歯で治療を行いました。叢生自体は改善されましたが、その後口元の突出感を気にして再治療を希望され、第一小臼歯抜歯による再治療を行いました。口元の突出感が改善され、調和のとれた側貌になりました。

抜歯と非抜歯の口元の変化

→叢生の治療例ページへ

抜歯・非抜歯の基準

ではどのようなケースで抜歯が必要かについては、単純に見た目の歯の重なっている量などでは判定できません。次にあげるチェック項目の総合的な結果で判断します。

抜歯・非抜歯を判断するためのチェック項目

  1. 歯の生えてくる歯茎の顎の大きさと個々の歯の大きさの調和度
  2. 個々の歯の位置異常(例:傾斜・回転している歯など)を改善した時に得られるスペース量
  3. 歯の大きさを少しスリムに削れる量(歯の大きさ=歯の横幅)
  4. 歯を前方・後方に移動・拡大可能な量
  5. 顎骨自体(特に上顎)の拡大処置の可能性(20歳近くでは難しい)ならびにその量
  6. 上下前歯の傾き度の改善量
  7. 成長期の学童では上下顎骨の成長発育に伴う変化の出現様相(量・方向・時期)
  8. 口元の突出度合いなどに対する改善予測量
  9. その他:患者さんの装置に対する協力度や生体反応

これらの複数の判定要素を総合的に考え「抜歯」「非抜歯」を決めて行くことになります。
従って、安易に「抜歯はしない矯正」と表示すること自体、後に患者さんとのトラブルの種をまいているようにも思えます。

当クリニックでは、患者さんの症状や抜歯の必要性について、ご納得いただけるよう詳しく説明いたしますので、ご不明な点はご質問ください。

非抜歯治療の例

抜歯治療の可能性が高い症例でも、顎の成長期に治療を開始することで、結果的に非抜歯で治療を終えることができる場合もあります。
詳細はこちらの治療例をご覧ください。

子供の上顎前突(出っ歯)の症例
子供の反対咬合(受け口)の症例